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うばたま 人口照明の発明は近代の成立に欠かせない条件であろう。夜も稼働する工場が暗闇に輝くのを初めて見た人たちは、さぞ驚いたに違いない。照明の光は、夜を昼の延長として扱うことを可能にした。それ以降、人間の暗闇に対する捉え方はどれほど変わっただろうか。 現在、我々が暗闇という言葉を扱うとき、それはもはや比喩的に使われる概念でしかないように思われた。私は、暗闇が物の輪郭を溶かすようにひろがる空間を前近代的暗闇と見なし、自ら経験してみることにした。 光の不在としての暗闇を見るということは、見えないことと同義だ。光の記録である写真の場合、暗闇はフィルムに光が記録されないことにより、その姿をフィルムに定着させ、朧げな輪郭を浮かび上がらせる。 ー隼田大輔 |